2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧
母親が中学校の同級生であったという接点とも言い難いつながりがあるだけの2人の女(とその親)の生い立ちが淡々と語られるのですが、それは時代そのものを語るために語られているかのようです。2人の女はそれぞれ殺人犯となるのですが、その殺人事件とは……
あとがきに、「私の思想は、異端である」とあります。長く新自由主義が主流であった*1わが国では、異端と言っていい考え方なのかもしれません。いまでもスウェーデン型の国の姿を理想とする考え方は日本では少数でしょう。消費税と言うだけで選挙にならない…
宮澤賢治のイメージを借用している風でもあり。映画化されたようですが、絵本にはなっても、映画にはなかなかならないのではないかという気がしますが。 つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)作者: 吉田篤弘出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/11メディア: 文…
本書でいうところの本よりも面白い「本の本」の典型ですね。著者の本・読書との付き合い方が様々な側面から語られますが、あるいは共感し、あるいは賞賛し(あきれ)ながら、楽しく読みました。巻末に言及書籍タイトルや作家名の索引があると嬉しいのですけ…
看板建築、東洋キネマ、東京駅、皇居、横浜ニューグランドホテルなど(マッカーサーゆかりの建物)、聖路加国際病院、建築家デ・ラランデ、パトロンとしての渋沢栄一などをめぐるエッセイ。路上観察学会のノリで楽しい読み物です。上梓されてから15年、街が…
生きながら死んだも同然の暮らしを強いられるつらいお話です。ノーベル賞作家の代表作で、遠藤周作に大きな影響を与えた作品として知られているようです。翻訳はその遠藤周作。 テレーズ・デスケルウ (講談社文芸文庫)作者: フランソワ・モーリアック,若林真…
CDSを保険金殺人と呼んだり、強欲資本主義というレッテルを張ったりするセンスはあまり好きではありません。いわゆるトレーディングの社会的意義は何なのかという疑問はもちろんありますけれど。 イノベーション・エコシステムという言葉が面白いですね。SON…
日本人は、主要先進国の中で「貧富の差が生まれたとしても多くの人は自由な市場でより良くなる」と考える人の割合も「自立できない非常に貧しい人たちの面倒をみるのは国の責任である」と考える人の割合も最も低い、すなわち「市場経済も嫌いだが、大きな政…
賢くて気の強い幸田文を主人公にした、落ちぶれかけた芸者置屋を舞台とする「家政婦は見た」。くろうとさんの華やかさ、うらぶれたはかなさと、日常生活の俗とがあいまって、独特の情緒があります。 流れる (新潮文庫)作者: 幸田文出版社/メーカー: 新潮社発…
93〜95年に文芸誌に発表された、表題作のほか、十年計画、過去のない手紙、八月の雪、過ぎたこと、生者の特権、漏れる心の計7短編。(宮部みゆきですから)もちろんつまらなくはないのですが、どうも私自身の嗜好が変わってきたようで、かつてのようには面白…