HONMEMO

読書備忘録です。

2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石文明論集/三好行雄編

日本は維新後、文明開化として西欧近代文明を受容していくが、漱石は、日本の開化(近代化)の進展は内発的でなく、外発的で皮相的(取ってつけたように西洋のものまねをしようとしているだけ)だと批判する。 また、漱石は、英国留学中、英文学研究の意義を突き…

若者のためのまちづくり/服部圭郎

高校生をターゲットとして、まちづくり、まちの楽しみ方や改善の視点などを説く。10年以上前のものだが、今も古びず、おじさんも楽しく読める。歩いて楽しめる、自転車で自由自在に移動できる、ライトレールなど公共交通の復権、空地などのレジャー空間、サ…

犬と鬼/アレックス・カー

「美しき日本の残像」「ニッポン景観論」「観光亡国論」は、主として日本の国土や文化の美が失われてきたことについて述べるが、本書はより広く、金融や教育なども含め、その要因についても詳しく指摘している(先の3冊はもう詳しくは覚えていないが)。初出は…

近代日本の「知」を考える。/宇野重規

名前を知らないという人はいない、広い意味で関西に関係のあった近代の著名な知識人ら全29人、それぞれ一書一文を象徴的なものとして取り上げつつ、その歴史上の位置付けや現代における意義などについて、ごく短い文章で紹介するエッセイ的な肩の凝らない読…

国を作るという仕事/西水美恵子

20年余りにわたり南アジアを中心として世銀の開発プロジェクトに携わり、副総裁まで務めた著者による各国リーダー評を中心とするエッセイ、リーダーシップ論。 開発途上国の貧困の原因の多くは、腐敗構造などを含めた「悪統治」であり、最終的にはリーダーシ…

幕末維新の漢詩/林田愼之助

江戸時代、漢詩は武士の一般教養だった。維新の志士らの漢詩はあまり知られていないが、この漢詩を通じてその考え方の真実や内面を深く知ることができると。読み下し文、現代語訳もついていて理解するのには十分すぎるほど丁寧なのだが、原文を見て読み下せ…

銀河ヒッチハイク・ガイド/ダグラス・アダムス

SFコメディ(バカSF)として名高い。昔々、大森望が激賞していた記憶がある。この手のは合わないと思いつつ、イーロン・マスクの愛読書ということもあって、読んでみた。 世に絶賛されているのに、どこが良い(面白い)のかさっぱりわからなかったのはやはりちと…

一億三千万人のための「歎異抄」/高橋源一郎

高橋源一郎による超訳「歎異抄」。 ただ単に念仏を唱えれば往生できる(しかも、いわんや悪人をや)という専修念仏は、常識的にはすごく分かりにくく、貞慶の批判(念ずる心、菩提心を持たず、ただ口先だけで名号を唱えればいいと言うのは堕落でしかない)が真っ…

ダーウィンの呪い/千葉聡

本来のダーウィンの進化論は、進歩(主義)とは無関係、また自然選択は適者生存とは異なるものだが、社会に受け入れられやすい形に都合よく規範化、改変されて、功利主義的経済政策や階級闘争、帝国主義(植民地)政策などの「科学的」根拠とされた(ダーウィンの…