著者は北京に長く住むライター。
最近の若者の恋愛、結婚事情を中心とした中国社会事情ルポ。
中国では経済成長もそうだが、結婚平均年齢、離婚率の上昇、少子化など社会構造も超高速・圧縮型で変化した。
貧富の差の拡大、不動産価格の高騰などの経済成長に伴う問題に加え、一人っ子政策のような人口政策の変更、独特の戸籍の問題と教育制度などもあいまって、中国人を取り巻く社会環境は大きく変化した。このような中で、世代間認識ギャップの拡大の一方で、結婚のファミリービジネス化、恋愛への家族の介入、祖父母を含めた6人での子育てといったような状況がみられるようになっている。
突然の塾の禁止やロックダウンなど強権的で急激な変化に対応する制度的セーフティーネットは貧弱だが、かつてからの家族などの社会的セーフティーネットの存在が、しがらみでもある一方で、社会を支えているようにもみえる。
本書、インタビューなども交えて、お隣中国人の心情を丁寧に伝えて、目が白黒するような話も多いのだが、変にジャーナリスティックにならず、楽しくよめる。
