HONMEMO

読書備忘録です。

なめらかな社会とその敵/鈴木健

著者は複雑系科学の研究者。成田悠介「22世紀の民主主義」を読んだ流れで、手に取ってみた。

生物の基本単位である細胞の膜と核の構造は社会制度と地続き(国家と中央集権権力)であるが、その背景にある反応ネットワーク(インターネットなど)によってその膜の機能を弱め、「なめらかな社会」を作っていくという構想。このような構想あるいはその金融、政治システム分野の現れとしての伝播投資貨幣(PICSY)や分人民主主義など、理念、ビジョンとしては、なんとなく分かるのだけれど、これを実際に落とし込もうとする議論になればなるほど、(私には)何のことだか分からなくなる。

ただ、坂井豊貴「民主主義を疑う」のような現実に足場を置いた実用に供しうる議論の一方で、このような次元の違うレベルのビジョンが提示されることは極めて重要なのだろうと思う。

まあよく分かっていないので論評するのもおこがましいが。