聞き手が比較的近しい人であることもあってか、率直に気兼ねなく語っている印象がある。御厨貴であれば当然違う切り口の聞き方もあっただろうが、もっと構えた語り口になっていたかもしれない。
結構好き嫌い、思い込みの強い人だったようで、特に財務省嫌いは筋金入り。税収の増減しか気にせず実体経済を考えていないとか、森友問題は自身の足元を掬うための策略の可能性もなしとしないとか、感情的というか、ほとんど陰謀論に傾斜している。トランプとケミストリーが合うというのも頷ける。
政治主導の流れの中で内閣人事局を作って官僚に対する統制を強化する仕組みを作ったことは統治機構の大変革で、自らのビジョンを実現する上で大いに助けになったと言うべきだろう。
安倍政権の意思決定過程を知る上で貴重なもの。安倍派会長として本格的な政界復帰を図ろうという時期に出版に待ったがかかったという。
いずれ総理再登板に打って出るつもりであったろうと思うが。