HONMEMO

読書備忘録です。

全体主義の克服/マルクス・ガブリエル 中島隆博

日独哲学者の対談。

全体主義は、私的な領域を公的な領域に置き換えていくが、現在の全体主義は、国家ではなくGAFAが公的な領域と私的な領域の境界を破壊している。トランプにせよ、プーチン習近平にせよ民主的に選出されており、20世紀的定義でいえば中国は独裁国家とは言えない。現在の全体主義の本質は市民的服従であり、市民が自ら擬似独裁を生み出している。

GAFAはユーザーを搾取し、ユーザーの行動が民主主義を破壊している。デジタルプロレタリアートは革命を起こし、「シリコンバレーの魔女たち」のコントロール権を取り戻さなければならない。

ヨーロッパ的普遍を脱構築し、文字どおり普遍的な普遍を考えるべき。普遍とは、永遠不変の本質を有した概念ではなく、普遍的に開かれていくプロセスに注目すべき。人権概念は最初から普遍だったわけではなく、普遍化するプロセスにおいて内容が深められていった。

全体主義は、全てを「一」に同化しようとするが、全体主義を克服するために必要なことは、「一」もまた変容し、同時に「全体」が根底的に変容することを構想することである。

消費が礼や弱い規範と結びつくことで、モノの資本主義、コトの資本主義とはとは異なる新しいタイプの「人の資本主義」を構想する。

新しい資本主義の社会経済的な目標は、グローバルな中流階級の創造であり、全人類的な機関が資源を分配する機能を持つべき。@@

世界の哲学を考える時、世界の諸哲学や普遍的な哲学という考え方でなく、複合としての世界哲学、普遍化というプロセスに着目するものであるべき。

マルクス・ガブリエルはほんとラディカル