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読書備忘録です。

米原万里の「愛の法則」/米原万里

1998〜2005年までの講演4本の文章化。表題作だけちょっと異質で、残りはコミュニケーション論。

アメリカ人のグローバリゼーションは、自分たちの基準を世界に普遍させること。日本人のいうそれは、日本の習慣・基準を世界標準に合わせること。これを自覚しておく必要。

また、合わせる標準が、世界最強の経済と軍事力を持つ(文化を見ない)国とする傾向。言語も英語偏重になり、通訳も日本語→英語→他言語となるが、これは批判精神、複眼思考を弱くする。

世界最強の国に合わせるのではなく、いろいろな国の文化、言葉を見て、それと日本語の直接的な関係を築くことが本当の国際化。

・通訳・コミュニケーションは、完全に通じて最終的に理解が一致することはあり得ないことを覚悟した上で、それでもお互いに理解し合えることが大事。

ソ連の学校での国語の授業では、文章を朗読させた後、自分の言葉で要約するように言われる。これにより読書が攻撃的、立体的になる。文章を理解するのは分析的プロセスだが、話したり書いたりするのは、統合する必要があり、全く逆のプロセス。

 

読む本がなくなって、本棚をあさって見つけた。おそらく10年以上前に娘が買ったものだろう。

安定の米原万里