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読書備忘録です。

日本のカルトと自民党/橋爪大三郎

タイトルはややミスリーディング。本書は、カルトに限らず宗教団体とその政治行動(信者の投票行動)の問題点を指摘するもの。主に取り上げられるのは、統一教会のほかは、生長の家/日本会議創価学会/公明党であって、これらは著者の定義からしてカルトとは言い難いだろうし、他のカルト集団については参考程度に言及されるに過ぎない。

政教分離の考え方は、米国建国に際し、公定教会を作らないことにより、教会の平等を確保するとともに市民の信仰(教会選択)の自由を保障するとの考え方に由来し、米国憲法において確立されたもの。また、特定の協会がまとまって一定の政策、政治家(候補者)を支持することは国を分裂させる恐れがあると考えられたことが背景にある。日本国憲法における政教分離は米国憲法に倣ったものだが、歴史的経緯などもあって定着していないと。

圧力団体あるいは組織票は、労働組合、農協や経済団体などいろいろあって、著者は民主主義にとってそれぞれ望ましくない存在と考えているようだが、宗教団体については、上記のような政教分離の考え方から特に問題であるとする。

本書の著者の主張は、分かりにくい。著者が最も言いたいことは、民主主義というよりむしろ政治選択における自己決定の重要性とということかもしれない。