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読書備忘録です。

資本主義の次に来る世界/ジェイソン・ヒッケル

資本主義は、自然を、外部(グローバルサウス)を収奪し、成長を続けることを本質とする。そのため、必然的に生態系・地球環境を破壊し、既に危機的状況。解決には、成長を止めるしかないが(グリーン成長は根本解決にならない)、北の高所得国は人々の生活を向上させるために更なる成長を必要とせず、経済を組み立て直すことによって豊かな社会を築ける。

脱成長経済は、大量消費の是正、労働時間の削減、所得・資産格差の是正、公共財の脱商品化・コモンズの拡大により実現され、資本主義の希少性圧力から解放し、豊かな社会を作る。

その世界は、人が自然を収奪するのではなく、人と自然が共生し、贈与と交換の支配するアニミズムの世界だと。

このような脱成長論は、馴染みのあるものだが、その実現の道筋は、政府による規制や財政の所得再配分によらざるを得ないところが多く、その実現は簡単ではない。広井良典のように若者を巻き込んで商店街のコミュニティ化といった地に足のついた取組を進めていくことが重要かもしれないなどとも考えるが、そんなことをしていても地球の破滅には間に合わないか。

特に若い人はこのような脱成長の思想に共感する人も多いように思うが、このよな方向でグランドデザインを描く政治勢力はない。今の時期、政府は来年度の予算の大枠を決める作業をしているはずだが、野党の政策の大枠は全く見えず、政治資金の議論ばかり。

まあ、アメリカが政策転換しないと結局何も変わらず、地球は破滅に向かうしかないということかもしれないが。