HONMEMO

読書備忘録です。

次なる100年/水野和夫

日本では例外であるはずのゼロ金利が常態化しているが、これは資本主義が行き着くところまで行ったことを示す。より遠く、より速く、より合理的に行動することで経済成長を図り、それによって諸問題が解決できると考えてきたが、ゼロ金利は、現在と将来が同じ価値となったことを示すもので、現在が最高であることを意味する。

このような状況下で更に成長を図ろうとすることが、ショックドクトリン、絶望死、精神のデフレといった弊害を生む。

米国は帝国化のために、グローバリゼーション、金融自由化、ROE革命を推し進めたが、日本はこれに貢献し、派遣へのシフト、外国人株主の拡大なども進めた。

ゼロ金利の時代は、どの世代でも現在の生活を楽しむ権利がある。しかし、それができないのは、消費を我慢して米国に投資しているからであり、また、企業や高齢者等に資金が死蔵されているからである。このため、ROEサーチャージ課税、相続税の強化、高額所得者への課税強化などが必要。芸術の重要性も。

-より近く、よりゆっくり、より寛容に

 

枕のような本で、図書館で借り出してびっくりしたが、この人の著作で新書に良いものがあった記憶がある。私にはそれで十分だった。