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読書備忘録です。

ジェンダー格差/牧野百恵

ジェンダー格差についての実証経済学、すなわち統計学を使って因果関係(≠相関関係)を厳密に示すエビデンスを提供する研究を紹介するもの。

因果関係の証明は結構大変で、相関関係を因果関係と見誤ってエビデンスと捉えると政策の方向性を間違えかねない。

男性は外で働き家族を養うべき、女性は家の中で育児をすべきといった、様々なジェンダー規範(社会規範)やステレオタイプ(女性は家事が得意、STEM分野に向いていないといった思い込み)がジェンダー格差を助長し、またその是正を妨げていることは様々に実証されている。なので、ジェンダー規範を真剣に考えることが格差是正に必要だというのだが、若い人を中心に少しづつ変わっているようでもありつつ、議会構成が遅々として変化しないことなどを見ても社会規範の手強さを感じざるを得ない。クウォータ制をさっさと導入すべきと思うが、ジェンダーというより議員の既得権益の壁が厚いのだろうな。