HONMEMO

読書備忘録です。

天の夕顔/中河与一

 カバー裏によると、「ストイックな恋愛を描き、ゲーテの「ウェルテル」に比較される浪漫主義文学の名作」なのだそうだ。昭和13年に発表、手元の新潮文庫は、29年初版で平成15年3月81刷改版というロングセラー。
 しかし、率直なところ、私には呆れ果てたカマトト小説とかしか思えず、失笑を禁じえなかった。ストイックな、あるいはプラトニックな恋愛を描いた小説はいくらでもあろうが、まじめに書いているのだろうことは分るのだけれども、セリフから何からヘンチクリンな誇張表現のオンパレードで、ギャグ小説かと勘違いしてしまいそう。新感覚派ではなく、「珍」感覚派の間違いではないかとさえ思う。カミュが絶賛したということなので、ひょっとすると不条理小説として読むのが正しいのかも。
 まあしかし、こんな読み方をするのは私くらいのものなのだろうとは認識しているので、酷い言いようだけれども、ファンの方はご容赦を。

天の夕顔 (新潮文庫)

天の夕顔 (新潮文庫)


105円@ブックオフ