昭和16年、ベスト・アンド・ブライテスト(?)を集めた総力戦研究所が組織され、その机上演習で敗戦という結果を得ていた一方で、政府・軍部では、南方油田の産油量を甘く見積もったり、制海権が奪われることによって石油の輸送が途絶することなどを考慮に入れなかったりすることで、戦争遂行が可能な石油の需給見通しが策定され、無謀な戦争に突入した。
そもそも総力戦研究所の位置づけがはっきりせず、シミュレーション結果が大きな影響力を持ちうるものとされてはいなかったようでもあり、また、その結果の発表も、あいまいな表現で締めくくらざるを得なかったということで、「その結果を尊重していれば」といったタラレバ以前の話ではあります。それだけに戦後の研究所の研究生を追った部分のエピソードもあまり盛り上がらないということかもしれません。
- 作者: 猪瀬直樹
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