これは「9条どうでしょう」の思想と同じものというか、そのもとになるものだなと思って読んでいたら、あとがきで、その旨が書かれていました。このような辺境人であることを自覚して、そこに価値を見出していいのではないかという立場は、ある意味、本来的な意味での「保守」的な立ち位置なのかもしれないと思います。
著者は、本書で言っていることは、梅棹忠夫、丸山真男らの先人が既に提示していることであり、新味はないというエクスキューズをしつこいくらいに繰り返していますが、そのような学術言語で書かれたことを生活言語に翻訳して書くということ自体が辺境人特有のものだとして、そのエクスキューズ自体を辺境論で正当化してしまうところがまたすごいですね*1。けなしてるのではなくて、氏のこういう著作って貴重だと思っています。
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/11
- メディア: 新書
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*1:本書が、それらの翻訳にとどまるものになっているわけではないことはもちろんですが。