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読書備忘録です。

13歳からのアート思考/末永幸歩

アート思考とは、自分の内にある興味をもとに、自分のものの見方で世界を捉えて探究すること。(アーティストとは、興味のタネを自分の中に見つけ、探究の根を伸ばし、表現の花を咲かせる人。)

VUCA(volatility,uncertainty,complexity,ambiguity)ワールドにおいては、正解を見つける力ではなく、自分なりの答えを作る能力を養うことが重要。

そのための作法として

鑑賞の質を高める「アウトプット鑑賞」=作品を見て、気づいたことや感じたことをアウトプットする。

これに、2つの問いかけをする。

1 どこからそう思う?=発見した事実から主観的に感じた意見を問う。

2 そこからどう思う?=主観的に感じた意見の根拠となる事実を問う。

これによって新たな気づきが得られ、自分なりの答えが得られることがある。

アート鑑賞の2つのやりとり

1 背景とのやりとり

作者の考え、人生、歴史的背景、評価分析などの情報(背景)と双方向的な関係を結び、背景が投げかける問いに向き合うことで自分なりの答えを出す。

2 作品とのやりとり

1を離れて純粋に作品と向き合い、問いかける。鑑賞者の作品とのやりとりが、作者とともにアート作品を作り出す。(等伯「松林図屏風」のような作品とのやりとりを許す空間が残されている方が作者と鑑賞者がともに作り上げる作品になりやすい。)

 

現代に至るアートの歴史 6つの絵画

1 マティス「緑のすじのあるマティス夫人の肖像」 それまでの目に映るとおりに世界を描くという目的からアートを解放した。

2 ピカソアビニヨンの娘たち」  遠近法によらず多視点で捉えたものを再構成した。リアルは1つではない。

3 カンディンスキー 「コンポジションVI I」見る人を惹きつける絵を追求した結果、具象物が書かれていない絵を作り出した。

4 マルセル・デュシャン「泉」 アート作品=目で見て美しいものという常識を打ち破り、アートを思考(探究の根)の領域に移した。

5 ジャクソン・ポロック「ナンバー1A」 アートは何らかのイメージを写し出すものという役割から開放し、物質としての絵に目を向けさせた。(子供の描いた絵は、何かのイメージではなく、単に行動の軌跡)

6 アンディー・ウォーホール「ブリロ・ボックス」 アートという枠組み自体の否定。 (アートであるかないかは関税の世界では差があるというのは面白い)

アートという枠組みがなくなったことは、アートがなくなったことを意味しない。 MOMAは、アートという枠組みがなくなった平野で、自分たちのものの見方に従って、本当にすぐれたものを選び出そうとしている。

アートの本質は、表現の花ではなく探究の根。自分なりの考え方を生み出すこと。自分なりのものの見方を取り戻すためにアートは刺激となる。(日本では美術館に安らぎを求めに行くが、海外では刺激を求めにいく。)

エルンスト・ゴンブリッジ「これがアートだというようなものは、ほんとうは存在しない。ただアーティストたちがいるだけだ。」

そのように、アートはあまりに自由。本当に優れたものというのも客観的基準というものを持ち得ない(?)とすれば、何をもって評価することになるのだろう?

息子推薦

 

「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

  • 作者:末永 幸歩
  • 発売日: 2020/02/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)