- 作者: 福田和也
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2000/04
- メディア: 単行本
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5年程前に上梓された本のようだ。挑発的というのか、下品といえば下品だ*1とも思うのだけれど、面白いし、その評価が自分の好みと異なっているにせよ、どんな本を読もうかという際に役立つ本でもある。
エンターテインメント系、純文学系それぞれ50人、計600作品弱を100点満点で採点(わはは!)、
- 90点以上 世界水準
- 80点以上 近代日本文学史に銘記されるべき作品
- 70点以上 現在の文学として優れた作品
- 60点以上 再読に耐える作品
- 50点以上 読む価値のある作品
- 40点以上 なんとか小説になっている作品
- 39点以下 人に読ませる水準に達していない作品
- 29点以下 人前で読むと恥ずかしい作品(もし読んでいたら秘密にしたほうがいい。)
とする。
嬉しかったのは、北杜夫「楡家の人びと」*2(92点)の素晴らしさを思い出させてくれたこと。30年程前、中学生の頃に読んだのだが、私にとってこの小説を超える小説は未だに登場していないのではないかと、今振り返って思う。また読み返したい。また、広く読み継がれていくものと信じる。
楡家のほか、20作近くある90点以上とされる作品のうち読んだことのあるのは、山口雅也「生ける屍の死」*3と村上春樹「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」*4だけ。「生ける屍の死」は、私には全く理解不可能な(何が面白いのか全くわからない)小説だったように思う、もう忘れたが。村上春樹は、学生の頃群像で読んだ「風の歌を聴け」*5に衝撃を受け、「羊をめぐる冒険」*6まで、天才だ、天才だと騒いでいた。村上龍「コインロッカー・ベイビーズ」*7とともに。その後、「ノルウェイの森」*8に幻滅した・・・ただ単に、あまりに売れたことに嫉妬しただけかもしれないし、社会人になったためかもしれない。「ハードボイルド・ワンダーランド」って「ノルウェイの森」より前に出てたことを、初めて知った。数年前にかみさんの棚から失敬して読んだのだが、初期三部作を上回るほどのものか?と思った。ごく最近になって村上春樹の未読本を読んでみようかと思う気になってきた。何から読もうか。福田の最高点「ねじまき鳥クロニクル」*9(96点)からいくかな。
29点以下の本の中では、丸谷才一「女ざかり」*10(22点)ってさぁ、そりゃ「笹まくら (新潮文庫)」、「樹影譚 (文春文庫)」なんかに比べりゃ、何だコリャだけど、40点はあげてもいいんじゃない?渡辺淳一「失楽園」と同点ってのはトホホすぎる。マスコミに乗せられて売れた小説ってところはあるにせよ。
それから船戸与一・・・全作品測定不能20点以下って、福田の採点の理由も頷けない訳でもないけど、「蝦夷地別件」*11は水準はいってると思うがなぁ。
遠藤周作を取り上げないってのはないのでは?取り上げない作家の3つの基準にも該当しているとは思えないし。しかもコラムでは「沈黙 (新潮文庫)」を優れた作品として言及しているのに。私は、狐狸庵よりマンボウが好きだから、まあいいけど。(追記3/16)福田が評価対象としたのは現役作家だったんだ。納得。
まだいろいろあるのだけれど、とりあえず。