表題作のほか、「緑色の獣」「沈黙」「氷男」「トニー滝谷」「七番目の男」「めくらやなぎと、眠る女」の計7編。
「沈黙」とか「七番目の男」は、私の村上春樹のイメージとは全く違って、分かり易くはあるけれど、こういうのは村上春樹が書かなくていいよと思ってしまう。告白体で書かれていることもあって、特に「沈黙」は、太宰治を想い起こさせるところがあるのだけれど、
僕が本当に怖いと思うのは、青木のような人間の言いぶんを無批判に受け入れて、そのまま信じてしまう連中です。
なんていうガッコのセンセのいうような科白にがっくりしてしまった。
私は、この短編集の中では、「氷男」とか「めくらやなぎと、…」みたいなのが好きだ。「レキシントンの幽霊」は、スティーブン・キング原作の映画「シャイニング」を思い出させるところがあって*1なかなかいい(…って思うのはわたしだけか)。
「トニー滝谷」は、先日かみさんがDVDを借りてきて見ていた。村上春樹を映画化して面白いはずがないと思って見なかったのだが、イッセー尾形なら何とか格好になってただろうか。短編だけに、それをもとにイメージを広げて良い作品になりうるかもなと思ったり。見ればよかった…。
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*1:ジャック・ニコルソンの怖さでではなくて