茂木健一郎さんの書評に惹かれて読んでいたところ、日高敏隆さんの訃報が飛び込んできました。茂木さんがその翻訳を褒めていますが、わたしも日高さんの文章は好きで、氏の翻訳ということでなければ、本書を手に取ることはなかったかもしれません。
内容は、『理論動物学』(!)の学術論文ですので(笑)、真にその面白さを理解するには、動物学というか生物学の基礎を知っている方がいいかもしれません。あるいは学術論文を書いたことのある方の方が楽しめるというべきかもしれません。私は、そんな素養がありませんので、途中から斜め読みをしてしまいましたが、「鼻行類」の挿絵も楽しく、それなりに面白く読みました。
本書に対して、斯界の大物が「サイエンス」誌などで論評するというような広がりもあったそうで、生き馬の目を抜く*1研究の世界での心和むエピソードですが、何と言っても、本書は、書いている本人が一番楽しかっただろうなと思います。にやにやしながら書いている著者が目に浮かぶようです。
日高敏隆さんが本書に目をつけられたというのも、エッセイから感じられる氏のお人柄どおりだなと思います。
ご冥福をお祈りします。
鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 (平凡社ライブラリー)
- 作者: ハラルトシュテュンプケ,Harard Stumpke,日高敏隆,羽田節子
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1999/05
- メディア: 新書
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*1:かどうか知りませんが。