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読書備忘録です。

訂正可能性の哲学/東浩紀

政治が目指すべき公共性は、訂正可能性の場としても構想されなければならない。政治の理想は、過去をリセットするのではなく、過去の不条理をある程度許容しつつ同時に常に訂正可能性に開いていくような、持続的な運動を経由して実現されるほかない。

落合陽一や成田悠介の人工知能民主主義は、群れとしての人民の意志を抽出し統治の基盤にするが、人を固有名として扱うことができず、例えばビッグデータにより一度リスク集団に属するとされると永遠にその属性から脱出できない。すなわち、訂正可能性がない。民主主義の理念は.理性と計算だけでは実現できず、相対的、経験的で特殊な事例による「訂正」なしには維持できない。