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読書備忘録です。

小泉信三/小川原正道

小泉信三は、小熊英二のいう「オールド・リベラリスト」(大正期に青年時代を送り、共産主義を嫌悪し天皇を敬愛する自由主義者。都市中産階級以上の出身で、一般民衆から隔絶している。軍国主義は突発的異常事態であり、それ故正常な大正に帰ればよい)ではあるが、大正回帰ではなく、明治又はサムライの時代に理想を見てモラルバックボーンを取り戻すことに思想的課題を置いた点において異彩を放ったという。

なんだか、さっぱり分からない。

 

小泉信三―天皇の師として、自由主義者として (中公新書)

小泉信三―天皇の師として、自由主義者として (中公新書)

 

 

 

ふたつのオリンピック/ロバート・ホワイティング

ライター&ジャーナリストの名刺を持つ著者が、1962年、米軍諜報部員として来日して以来、今日に至るまでの自伝的ノンフィクション。

タイトルはいわば象徴的なもので、オリンピックに重点はなく、半世紀以上にわたる日米の政治・社会、裏社会、スポーツ、ジャーナリズムなどについて、自らの体験や綿密なインタビューに基づいて綴るもの。秀逸な日米比較文化社会論でもあり、東京の社会史にもなっている。

日米比較の視点そのものも面白いのだが、野球やプロレスあるいは保守政治と裏社会・CIAとの関係など、突っ込んだ取材により、人物、エピソードがヴィヴィッドに描かれていていて飽きさせない。

特に興味深かったのは、著者の米軍勤務時代。

U2が日本に墜落していたとか、

キューバ危機に際して、沖縄に核が配備されていたから、沖縄ひいては東京への核報復を真剣に心配したとか、

北朝鮮からのヘロイン密輸にまつわるキャノン機関の謀略だとか、

マルクス主義の学生をギャフンと言わせたロバート・ケネディ司法長官の礼儀正しい振る舞いとか。

 

 

 

 

考える日本史/本郷和人

-戦国時代の同盟は全く守られなかった。他国の人間は信用できなかった。→秀吉以前の中世に日本という国家はなかったのではないか?

-日本では、諸外国で見られたような大虐殺が見られない(信長除く)。穏やかで変化を好まない日本の背景には、多神教世襲原理がある。大思想家もでない。

- 日本では法は疎かにされ、実力による支配が幅をきかせていた。律令国家はフィクション。

- 政治家が民の貧困を意識するようになったのは、1200年頃から。

- 日本は穏やかな国柄で、大規模な会戦は多くなく、戦いを科学する伝統がなかった→勝てそうもない太平洋戦争突入

- 源平合戦の頃は本当に一騎打ちだった。集団戦が登場すると、素人が槍で「叩き合う」。

 

 

考える日本史(河出新書)

考える日本史(河出新書)

 

 

 

あらためて教養とは/村上陽一郎

共感する点が多々ある。

こういう論旨に対しては、マンガを人前で読んで何を恥じなければならないというのか、老害のたわごとだ、みたいな(無教養な)反応が多いのではないだろうか。万人が教養ある人ではあり得ず、そういう人は今も昔も限られるのだろうが、教養人(たらんとする人)の割合が著しく低下しているということなのであろう。

あらためて教養とは (新潮文庫)

あらためて教養とは (新潮文庫)

 

崩れる政治を立て直す/牧原出

作動学。大事な視点だと思うが、具体的なあてはめが分かりにくいところがある。

 

 

 

魂に息づく科学/リチャード・ドーキンス

サブタイトルは、ドーキンスの反ポピュリズム宣言とされているが、直訳すれば、情熱的合理主義者ドーキンス選集であり、雑文集。

ドーキンスの徹底した合理主義は、宗教に対する激しい攻撃はもとより、ブレグジットを生んだポピュリズム疑似科学や一部のサイエンスフィクション批判、更に科学の理解増進を図る上での説明のレベルダウン批判まで、幅広くかつあらゆる機会を捉えて追求される。リーズンラリーといった運動にも協力するのだが、ドーキンスは、理性を守るための集会が必要となっていること自体を嘆く。まさに世界的にそういう時代で、ドーキンスのような啓蒙活動が大きな力を持てないでいることが残念だ。

 

 

 

 

広重TOKYO/小池満紀子、池田芙美

A5サイズの比較的大きな、美しい図版で名所江戸百景が採録されているが、それでも、丁寧に解説されている雲母摺、空摺、布目摺、きめ出し、あてなぼかしといった技法は、はっきりとはわからない。

 

広重TOKYO 名所江戸百景

広重TOKYO 名所江戸百景