HONMEMO

読書備忘録です。

名人/川端康成

 藤沢秀行「野垂れ死に」からの囲碁つながりで。以前から読みたいと思っていた本。
 本因坊秀哉の引退碁(相手は木谷實当時七段)に題材を取ったもの。持ち時間40時間、半年にわたって打ち継がれたという。
 名人の死を前にした鬼気迫る対局なのだが、両者ともに、結構人間味あるワガママ(この一局に賭ける真剣さの表れなのだが)が何やらユーモラスにも思えてしまう。囲碁を少しでも知っている方が楽しめる本ではあろう。情景描写の美しさは流石というべきか。

名人 (新潮文庫)

名人 (新潮文庫)