変死した成り上がりの女富小路公子について、関係者27人へのインタビューという形で、その「悪女」ぶりを浮かび上がらせる。27人のうち、公子を悪女だといっている人間は比較的少ない。特に男は、最初の夫(?)渡瀬義雄のほかは、彼女を悪く言う男はほとんどいない。むしろこんなにいい人はいなかったという人の方が多い。それでもというか、だからこそというべきか、公子の悪女ぶり、特異さが際立つ。エキセントリックな人物であるけれど、ある意味妙に魅力的な人物だ。友達になりたいとは決して思わないけれど。*1
有吉佐和子は、「複合汚染」とか、「恍惚の人」とか、私の中では社会派というイメージが強くて(説教臭そうなイメージがあって)読んだことがなかったのだが、そんなイメージとは異なるなかなか面白い作品だった。
- 作者: 有吉佐和子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1983/03/29
- メディア: 文庫
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*1:本人にウソを吐いているという自覚はないんだろうな、きっと。