HONMEMO

読書備忘録です。

軍旗はためく下に/結城昌治

 敵前逃亡・奔敵、従軍免脱、司令官逃避、敵前党与逃亡、上官殺害の5編からなる昭和45年の直木賞受賞作。昭和45年といえば、大阪万博、70年安保、ベトナム戦争泥沼化という時代。戦争を知らない世代が25歳になる一方、なお多くの人が戦争の記憶を引きずっていた時代だろう。日本軍の理不尽、戦下の日本人の狂気が本当に恐ろしい。「敵前党与逃亡」など、ある軍曹は本当に敵前逃亡で死刑になったのか、上官殺害、人肉食の噂は真実だったのかといったことが関係者の証言を掘り起こす形で綴られ、ミステリー的な面白さも。

軍旗はためく下に (中央文庫BIBLIO)

軍旗はためく下に (中央文庫BIBLIO)


書影↑は復刻されたもの。手元のものはISBN:4122000289
105円@ブックオフ