明治の実在の人物が、錦絵から飛び出したかのように、縦横に活躍する大活劇6編。それぞれの人物の実際のエピソードを踏まえながらも大胆な空想をめぐらせて、楽しい作品だ。川路利良がフランスの列車内で脱糞してそれを窓から投げ出したというのは、司馬遼太郎の「翔ぶが如く」にも出てきたので、実際のエピソードなのだろうけれど、この物語の中に挿し込まれると実際のことなのかどうなのかわからなくなる。虚実の境がぼわ〜んとしていてとても面白い。ストーリーも、本格推理仕立てあり、人情ものあり、コミカルなものありとバラエティに富んでいる。
出演者(登場人物というより、出演者って感じなんだな)の一部をメモしておくと、次のとおり。
- それからの咸臨丸 榎本武揚、福沢諭吉ほか
- 巴里に雪のふるごとく 川路利良、井上毅、成島柳北、岩倉使節団、ユーゴー、ヴェルレーヌ、ゴーギャンほか
- 風の中の蝶 北村透谷、南方熊楠、夏目漱石、正岡子規
- 築地西洋軒 舞姫エリス(!)、森鴎外、森篤次郎、小金井良精
- からゆき草紙 樋口一葉、美登利と信如(!)、黒岩涙香
- 横浜オッペケペ 川上音二郎、貞奴、野口英世、永井荷風
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明治波濤歌〈上〉―山田風太郎明治小説全集〈9〉 (ちくま文庫)
- 作者: 山田風太郎
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手元のものは、河出文庫版 品切れor絶版のようだ。
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