ゴミ屋敷の主として周囲から白い目で見られ、ワイドショーネタとなった男忠市は、どんなろくでもない異常性格なのかと思いきや、昭和一ケタ生まれのごく普通の小市民として生きてきた人なのです。その昭和の時代を生きたごく普通の男の日常が丁寧に描かれていることもあってか、忠市が母を亡くして孤独になってから、ゴミを集めはじめ、「ゴミを片付けてしまったら、すべてがなくなって、生きてきた時間が「無意味」というものになってしまう。」という思いが分かるような気にさせられます。そして巡礼に出てラストの救い。ハッピーエンドというのとは違いますが、ある意味で暖かい終わり方だと思います。
- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/08/28
- メディア: 単行本
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追記:著者インタビュー→「波」、「あらたにす」
書評→重松清(朝日新聞)