膵臓がんで亡くなった夫吉村昭との最後の日々を私「育子」の目で綴った私小説(ほとんど随筆というかノンフィクション)。
臨終に際して「あなたは、世界で最高の作家よ!」と叫んでいたという自分を夫は喜んでいただろうか(「あなたを愛している」でなかった。)と、自らに問うのも、「育子が夫の背中をさすっている時に、残る力をしぼって躯を半回転させたのは、育子を拒否したのだ、と思う。情の薄い妻に絶望して死んだのである。育子はその責めを、死ぬまで背負ってゆくのだ。」と思うのも、死後も夫と連れ添いたいとの思いの表れでしょうか。
- 作者: 津村 節子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/07/26
- メディア: 単行本
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