習近平体制誕生までの経緯を薄熙来の失脚の内幕などを含めて取材したもの。
薄熙来は、重慶市書記として辣腕をふるうが、そのキャンペーンの一つ打黒というマフィア撲滅運動は、政敵排除の手段としても用いられ、文革にもなぞらえられているが、マフィアから没収した資産が幹部に還流していたというのが唖然とさせられるところ。
習近平の縁戚も含めて、党幹部には蓄財が可能となるような構造的な仕組みができているようだが*1、腐敗撲滅運動とか言って、どこまでを腐敗と考えているものやら。やはり色々な面で中国は情報統制でもっているという面はあって、危うさを内包しているというべきなのだろう。
しかし、こういう本は、取材源がはっきりしなかったり(表に出せない)、どこまで信じていいのかわからないところはある。そういうところが面白いともいえるのだが。
- 作者: 朝日新聞中国総局
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2012/12/20
- メディア: 単行本
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*1:本人以外の家族、縁戚が海外で優雅に暮らしているのを「裸官」というそうだが、これが失脚した時の亡命先、資産移転の保険になっているという。