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読書備忘録です。

群青/植松三十里

 副題は、日本海軍の礎を築いた男。幕府海軍の草創期から海軍一筋に生き、総裁となった矢田堀景蔵の生涯を描く小説。
維新後も活躍し、歴史に名をとどめた勝海舟榎本武揚などと比べ、「逃げた海軍総裁」という評判も立てられたりして維新後は政府の閑職をたらいまわしにされたようだ。矢田堀が真面目一筋の性格に描かれる一方で、勝海舟は、大局観が優れているというところはあるものの、ちゃっかり手柄を横取りする世渡り上手として描かれる。
 タイトル「群青」は、「出藍の誉れー青は藍より出でて藍より青し」にちなみ、矢田堀が多くの優秀な青年を育てたことから。
 新田次郎文学賞受賞。

群青―日本海軍の礎を築いた男 (文春文庫)

群青―日本海軍の礎を築いた男 (文春文庫)