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読書備忘録です。

世界屠畜紀行/内澤旬子

 本書では、日本はもとより芝浦の屠畜場で働く人々が具体的にどのような差別を受けてきたかの記述は最小限にとどめている。差別を受けた側の立場に成り代わって被差別の歴史をくわしく書くよりも、まず屠畜という仕事のおもしろさをイラスト入りで視覚に訴えるように伝えることで、多くの人が持つ忌避感を少しでも軽減したかった。
 僭越ながらそれができる人間は日本にそう多くはいまい。(略)〔それは私が〕屠畜という営みを心から、たぶん当事者以外ではだれよりも愛しているからだ。
(あとがきより)

 差別どうのより屠畜のディテールをイラストとともにへえ〜と楽しむ本。著者のように「屠畜を愛している」という人はなかなかいないだろうから、楽しむというのはちと違うのだけれど。