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読書備忘録です。

いつだって大変な時代/堀井憲一郎

 いつでも「大変な時代だ」と言うのは、それを超克していく自分たちを偉く感じることができるためで、危険であると。政治家がどんなときでも「わが国は危機的状況にある」と言うのに違和感を感じていたが、そういうことなのだな。
ちょっとメモ。

  • 歴史は繰り返し美しく歪められる 被害者に悲惨な記憶を語らせてもあまり意味はない。むしろ、戦争に協力した普通の大人の発言を反省もさせずに拾っておくべきだった。
  • 無縁社会はみんなの努力の結果である 家族を解体しようとしてきた結果の無縁社会は理の当然、大変なことではない。
  • 政府も東電も「他者」ではない 情報を隠すなという叫びは、しょせん「おれも特権的立場の一部に連ならせろ」という我欲でしかない場合も多く、マスコミは特権的であることに疑いを持っていないから声高に叫ぶが、巻き込まれない方がいい。政府も東電も「他者」として捉える気持ちが強すぎると陰謀史観近い幻想を抱いてしまうが、これは不幸。

いつだって大変な時代 (講談社現代新書)

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