主人公「僕」(カズオ)とその息子広樹、「僕」とその親父(チュウさん)、交通事故死した橋本さんとその息子健太という3組の父と息子を通じて、重層的に父と息子の関係を描く。
親父が私の年齢の頃、私に対してどう思っていたか、今中学一年の息子が私をどう思っているか。私が親父に、息子に対して思っていた(る)ものとは必ずズレがあるだろう。親の想いと子の想いは、どうしたってすれ違う。解説斎藤美奈子が紹介する社会学的分析はくだらないが、斎藤の言うとおり「身につまされる」物語だ。今、この物語のような不幸に襲われているわけではないけれど、目頭が熱くなった。
「僕」がもう一度頑張ってみようと思うようになるのは、最後は、親父チュウさんが息子「僕」を死なせないでくれという叫びを聞くことによるのだが、このあたりはあまりに通俗的でどうかと思ってしまう・・・クサッと思いながら泣けるというところは浅田次郎か?
息子に薦めてもいいのだが、性表現があからさまなところがあり、中一だと結構微妙なところかなぁと「親」の想いが顔を出す。まぁオヤジが読んで面白い本だろうしな・・・などとも思い。
- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/02/15
- メディア: 文庫
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