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読書備忘録です。

桃尻娘/橋本治

 「桃尻娘」(主人公の玲奈)って高校生だったんだ(女子大生だと思ってた・・・というのはまぁ続編があるからひょっとすると間違いではないのかもしれないが)、更に言えば、インテリだったんだ。それになんか凄いイイコちゃんじゃん。品は良くないかもしれないけれど、質の良いインテリに好まれそうな青春小説だ。あとがきで、「猥雑にこだわる」とか言ってるけど、タイトルはそうかもしれないけど、中味はホントに「アンチ・ポルノ」だわ。
 「ナウい」なんていう言葉がジョークでない時代の作品だけれども、今でも十分楽しめる小説だと思えるのだが、そう思うのはオジサンだけかなぁ。表題作のラスト↓なんて、すごくいい。

 高校生っていえば“お勉強”しかなくって、女の子っていえば“純潔”しかなくって、どうしてそんなつまんないものしかあたしにはないの?あたしが他の“何か”であっちゃどうしていけないの?あたしは絶対そんな役に立つ物になんかなりたくないんだ。あたしは唯の“実用品”になんかなりたくないんだ。だからあたしは、だからあたしはどんな事があったって、意地でも今日は海を見に行くんだ。
 海に行ったって何にもあることないのに決ってるけど、でもやっぱりあたしは、一人で行くんだ。

 橋本治自筆のユーモア溢れる年譜(昭和56年まで)つき。ただし、絶版のようだ。

桃尻娘 (講談社文庫 は 5-1)

桃尻娘 (講談社文庫 は 5-1)