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読書備忘録です。

閔妃暗殺/角田房子

明治維新から日清戦争終結/三国干渉の頃にかけての日朝関係を、李氏朝鮮の皇后閔妃の登場から暗殺(というか謀殺)に至るまでを軸に描いたノンフィクション。
不満がないことはないが、まずは真っ当なノンフィクションだ。
閔妃は、スケール百分の一の西太后みたいな人間で、舅大院君との権力争いしか眼中にないということだったようで、こういう人間が国を治めていた日にゃ国は滅びるわな。どう転んでも、日本の植民地になったか、ロシアの植民地になったかしかなかっただろうな。
福沢諭吉の思想を全然知らなかったことなんかも改めてよくわかった。いずれ福沢の脱亜論を読んでみよう。
あとがきは蛇足。「隣国への遺憾の念をもつべき」というのはそのとおりだが、閔妃暗殺のことを日本人が知らないことは恥ずかしいとかなんとか言うのはナンセンス。大日本帝国が朝鮮を植民地化したという歴史全体の中では瑣末な事件にすぎない。非難されるべきはいうまでもないが。(日本人は子供でもペリー来航を知っているが、アメリカ人のどれだけがそれを知っているか、みたいな情報の非対称性のことでもある。)

閔妃(ミンビ)暗殺―朝鮮王朝末期の国母 (新潮文庫)

閔妃(ミンビ)暗殺―朝鮮王朝末期の国母 (新潮文庫)


250円@街の古本屋さん