毎日新聞に連載されたものということもあって、著者の短編小説にあるような難解ともいえる企みのない、読みやすい長編の物語。小説の楽しみが満載*1。アンナ・カレーニナのような姦通小説であり、(日露戦争を背景とした)「戦争と平和」(読んでいないけど)であり、医師が重要な人物として登場する群像小説ということもあって、加賀乙彦「永遠の都」や北杜夫「楡家の人々」なんかも想起させる。解説のいしいしんじが「ふくらみ」と言っているのだけれど、読むからに愉しさもふくらむ、柄の大きい小説。
この小説の愉しさを語ったらキリがない*2ので、著者インタビューなどを貼りつけて、備忘とする。
ベストセラーにするには長すぎるということかもしれないけれど、本屋大賞とか、こういう純文学系の読みやすい本が対象になって欲しいと思うけど。
本書についての著者インタビュー
朝日の書評
- 作者: 辻原登
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/08/21
- メディア: 文庫
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