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読書備忘録です。

日本の血脈/石井妙子

 以下の10人の家系をたどるノンフィクション。

 人の思いの集大成が人を作る。人は一代で作られるものではないとの思いを強くした。(あとがきより)

 一つ間違えると、興味本位の覗き見趣味に堕してしまいかねない企画だが、本書は、至極真面目な作品。
 「血ではなくて芸」と言っていた猿之助香川照之の襲名に係る「親子愛の美談」について、著者は、<芸のわかる観客がいなくなれば、自然と血脈や、知名度、分かりやすい親子物語が優先されていくのか。それは、…今の日本社会全体を覆う、一つの風潮、あるいは、病理のように思える。>と書く。芸を政治に置き換えれば、現下の政治状況あるいは、小泉進次郎に当てはまる。

日本の血脈 (文春文庫)

日本の血脈 (文春文庫)