東京藝大の学生たちへのインタビュールポ。
藝大は音楽と美術の両方をもつ点に特徴がある(言われてみればそうだ)。音楽は一過性の芸術であるのに対し、美術は作品が残るといったことなどを反映してか、音校と美校の学生にはそれぞれカラーみたいなものがあり、また、楽器であったり、工芸の種類であったりによっても何となく違いがあるというのも、なかなか面白い。芸術に取り憑かれたような情熱を持っている人もいれば、体に刻み込まれたように息をするように自然に取り組んでいるようにみえる人もいる。全体として感じられるのは、何と個性的で自由なんだという、明るく、爽快な雰囲気だ(そして皆さんまじめ)。
作品や演奏で食べていける人は一握り、卒業生の半分は行方不明だという。芸術というのはまさにそういうものなのだろうが、サラリーマンからみると羨ましくもある。
読んだのは単行本