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読書備忘録です。

地形の思想史/原武史

タイトルは、分からなくはないが、大きすぎというか。それぞれあるテーマをもとにして、ちょっと地形にも絡めて、色々と考える旅行記という感じ。

・「岬」 現上皇が皇太子時代に夏を過ごした浜名湖のプリンス岬のこじんまりとした保養所での日々は、当時の一般市民の核家族の風景のよう。

・「峠」 武装闘争路線の共産党が小河内村に送り込んだ山村工作隊は、住民に受け入れられず、摘発され、また党の方針転換により顧みられなくなる。共産党の方針転換に反発して生まれた新左翼による大菩薩峠事件の福ちゃん荘はまたその奥先にあり、現天皇が休憩している。

・「島」 ハンセン病隔離施設「愛生園」の長島。検疫施設があり、被爆者が搬送された似島

・「麓」 富士山麓には多くの宗教施設がある。北口本宮冨士浅間神社オウム真理教の富士山総本部とサティアン創価学会が脱退し対立する日蓮正宗総本山大石寺、「世界人類が平和でありますように」の白光真宏会の富士聖地など。

・「湾」 三浦半島と対岸千葉県には、ヤマトタケルとオトタチバナの伝説が残る。

・「台」 陸軍士官学校があった相武台、陸軍航空士官学校の修武台、陸軍予科士官学校の振武台は、天皇命名。名前が残ったのは相武台だけ。

・「半島」 大隅半島は長らく二階堂進山中貞則の地盤。垂水市は2019年になってはじめて女性議員誕生という、そんな政治風土。鹿屋特攻基地の存在も影響か。

 

地形の思想史

地形の思想史

  • 作者:原 武史
  • 発売日: 2019/12/20
  • メディア: 単行本