この作者の作品はひょっとしたら文庫化されないのではないだろうかと思い、単行本を買おうかと思っていた矢先に、2冊続けて文庫化され、早速購入。
これは素晴らしい。滅びゆくものの美というのか(ちと違うか、なんと言うべきか)。あふれる雨と水のイメージの中で、現実と幻想が境界を失う。
「花腐し」は、芥川賞受賞作。受賞後第1作「ひたひたと」を併録。「ひたひたと」は、幻想性が高く、表題作に負けず劣らず良い。
「もののたわむれ」は、処女小説。14篇の掌小説を収録。「並木」「一つ二つ」などが特に好きだ。漱石「夢十夜」を彷彿とさせるところもある。
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