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読書備忘録です。

ブッダは、なぜ子を捨てたか/山折哲雄

新書らしくミスリーディングなタイトルで、内容も散漫という印象を否めません。
本書の主張するところは、親に捨てられたといってよいような子供が大量に生み出されている現代において、子を捨てたブッダの生き方を思想を再認識しようというところにあると思われます*1。子を捨て妻を捨て、共同体を捨てて遍歴の旅の後にシャカが悟ったのは、「自己を捨てる」即ち「無我」ということなのだが、そのブッダの教えは、その死後、教団が形成され、時間をかけて遠くまで伝播する中でさまざまに変容した。今その生き方をもう一度見つめ直そうと。
もうひとつよく分からないのが、インド仏教が「無我」の仏教であるのに対し、日本仏教が「無私」の仏教であるとする点です。日本の仏教者たちは、「我」の否定という困難な問題より、「心」の浄化という課題に重大な関心を払った、というところは良く分かるのですが、『人間の心は、我のように否定されるべき対象でなく、浄化されるべきものだ、心は訓練により浄化され、そこから「無私」の境地が得られる』というのですが、私には無我と無私の違いがなかなかイメージできません。
面白いと思ったのは、十大弟子を日本の宗派になぞらえるとどうかというところ。

ふ〜ん。その他に十大弟子は、

  • 須菩提―供養第一
  • 阿那律―天眼第一
  • 優波離―持律第一
  • 羅睺羅―学習第一

仏教をもう少し幅広く知りたくなりました。

ブッダは、なぜ子を捨てたか (集英社新書)

ブッダは、なぜ子を捨てたか (集英社新書)

*1:「なぜ」ブッダは子を捨てたのかという点については、言ってみれば、その議論のきっかけで、それなりの分量の紙面が割かれていますが、内容はほとんどありません。