鳥獣剥製店、義眼工房、地下軍装店、自鳴琴(オルゴール)博物館、昆虫博物館などをめぐるロマネスクなエッセイ。
<まどろみ>という言葉が好きである。…発条(ぜんまい)がいまにもほどけきろうとする時の、オルゴールの臨終(いまわ)の音、ためらいながら洩らす機械の吐息、あのもどかしい数秒間こそ<まどろみ>に似ている。
曖昧ではあるけれど、ここらあたりが境目かしら―だいたい美しいものはその辺にあるものだ。
そしてその美しいものとして引かれるのが、江戸川乱歩、マラルメ、ディートリヒ、「愛の嵐」、ヴィスコンティなど。
辻邦生が選考委員のドゥマゴ文学賞を受賞。
- 作者: 久世光彦
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 1997/12
- メディア: 文庫
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