HONMEMO

読書備忘録です。

道徳教室/高橋秀実

ドイツでは一人一人に考えさせるが、日本の道徳教育は、みんなで考え、決めつけない。これはかつての価値観の押し付けが戦争を引き起こしたという過去の反省によると。

道徳性とは、自分を客観視すること、自分の中にいる第三人称の自分から自分を客観的に見ること(間主観)ができるようにすること、各個人に内面化された「みんな」が承認する規範に従うことで、みんなで考えるというのは「みんな」における自分を考えることになるのだと。

その「みんな」の道徳空間に屹立するのが、羽生結弦だという。自分を見つめるナルシストと思っていたが、彼の言説は、間主観という典型的な道徳的言説だというのも、こじつけっぽくもあるが、面白い。彼の言説の気持ち悪さはこのあたりにもあるのかと不道徳な私は思ったりする。

後半は道徳との関係を後から取ってつけたようで散漫。