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読書備忘録です。

逝きし世の面影/渡辺京二

「逝きし世」とは江戸の世の中を指し、幕末から明治にかけて日本を訪れた西洋人の書いた旅行記、日記などをもとに、江戸時代の「文明」の特質を描き出しています。
私はこれまで

  • イザベラ・バード「日本奥地紀行」
  • アーネスト・サトウ「一外交官の見た明治維新」
  • ベルツの日記
  • キャサリン・サンソム「東京に暮らす」

といった本を興味深く読みましたが、本書で参考とした文献は巻末記載のとおり膨大なものですので、そのころの日本の姿を一個人の見た主観的なものとしてではなくて、ある程度客観的に理解する助けになります。客観的にとはいっても、近代西洋人の見聞録をもとにまとめているという点には留意する必要はありますが、本書は、「現代から見た」というのは異なる「近代西洋人から見た」という特質を上手く活かしながら(あるいは注意深く修正しながら)、江戸時代の日本、日本人の在りようをさまざまな角度から整理していて、現代の日本を考える場合にも参考になると言えるのではないでしょうか*1

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)


1995円@都心のメガ書店

*1:そんなふうに思わせるところが、なんとなく説教臭い文体ともあいまって、いやらしくも感じられるのですけれど。