比較法学者によるやさしい法文化、法意識論。朝日新聞の書評サイトでの呉智英の書評に踊らされて、読んでみた。
写真に見る法学者穂積陳重の移り変わりで、明治日本における西洋法の受容の過程を浮かび上がらせる手法は、堅苦しくなりがちな法律を取り巻く議論を興味深く読ませる。後半取り上げられる裁判例も日本人の法意識の一端をよく窺わせて、面白い。「自己責任」について、ネットでよく見られる「お客様の自己責任」という用法をひいて、自分が責任を引き受けるのではなく、むしろ自分が責任を回避する場面に多く使われるという指摘にもなるほどなと思わせるところがあった。わが国で判決ではなく和解など訴訟外の解決が多いのは、判決の予測可能性が高いからという指摘があるというのも興味深い。
- 作者: 青木人志
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/04/15
- メディア: 新書
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