ハンググライダーを作って(といっても時代は江戸時代)空を飛ぶことに憑かれた男幸吉の物語を軸に、海運の既得権益に疑問をもつ船頭源太郎とともに塩の独占流通に風穴を開けようとする巴屋伊平の物語など、現状を改革しようとする意識をもつ人々を併せて描く。
幸吉は、空を飛びたいという欲求に突き動かされて行動するという純粋な動機しか持っておらず、政治批判の意識は乏しいのだが、まわりが反体制のように解釈してしまう。それはああなるほどと腑に落ちるのだけれど、体制批判が行動の原動力となっているように書かれる巴屋伊平の物語は、偽善の匂いがしてつきあえない。
- 作者: 飯嶋和一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2002/11
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