20世紀初頭、ハシムラ東郷という日本人学僕*1の手紙というコラムが人気を集めていたというのは、初めて知りました。当初はハシムラ東郷が自ら怪しげな英語で書いているという偽装を施していたのですが、途中でアーウィンという米国人が書いていることを明らかにします。このコラムは、アメリカ上中流社会を面白おかしく批評するものとして、早川雪州主演の映画になるなど、大いに人気を博したようですが、その人気もあってハシムラ東郷が一つの日本人ステロタイプの形成に大きな影響を与えたようです。
同時期のヨネ・ノグチ(イサム・ノグチの父)の作品やオノト・ワタンナという偽装日本人の作品などにおけるいわゆるジャポニズムの表われ方などとも合わせて、米国における日本人観の形成が分析されます。
学術書がベースとなっているので、読みやすい文章ではありませんが、興味深く読みました。
2940円@Amazon
- 作者: 宇沢美子
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2008/10/28
- メディア: 単行本
- クリック: 28回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
*1:school boy 学生ではなく、男の家政婦のようなものらしい。