北米体験を再考してみると、著者の北米留学時代の体験の中にある米国像は、黒人の眼、ヴェトナム人の眼、沖縄の日本人の眼からみるとなお浅いと。
(マシースンの社会主義、スナイダーによるアメリカ・インディアンの評価、フェザーストーン、クリーヴァーによる黒人解放運動など)
「1955年以降の黒人を中心として、ヴェトナム戦争にかりだされる若い世代の大衆の中におこった生活の新しい流儀は、北米をこえて意味をもつように思える。そういう動きは、もとから北米にあったとしても、留学当時の私には見えなかった。第二次世界大戦をくぐり、戦後の日本にくらしてきたことが私に新しい視野をあたえ、留学当時の体験から意味をひきだすことができるようにした。」