HONMEMO

読書備忘録です。

安いニッポン/中藤玲

かつて日本の物価は世界一高かったが、今やディズニーもダイソービッグマックも、日本の物価は世界一安い。サンフランシスコでは年収1400万円は低所得というように賃金水準の差も広がる。物価が安いのは賃金が上がらず、購買力が下がり、価格を上げられなかったから。賃金が上がらない要因は、年功序列、横並びの賃上げ交渉などの労働市場の構造的な要素が大きく、ジョブ型(ロール型)雇用なども求められる。

現在のような賃金も物価も上がらない状況には、

・海外の人は日本に来て旅行や買い物(爆買い)を楽しめるが、日本人はその余裕がなくなる。

・人材が流出、優秀な人材が集まらない。

・グローバル企業や国際機関のトップを取れなくなり、日本人は一般労働者となり、所得は海外に流出する。

などの大きな問題がある。

対応策を識者が様々指摘しているが、実質賃金、所得を上げていく必要があることは共通する。

河野龍太郎の消費増税社会保険料の引下げをセットで行うというのははじめて聞いたが、面白そうな気もする(無理だろうけど)。

経済成長はいらない、豊かな社会を、という議論は一国で可能なのか、ということも考えてしまうが、筋が違うだろうか。