HONMEMO

読書備忘録です。

ロシア点描/小泉悠

ロシアの生活と政治・権力構造について、自らの実体験をもとにやわらかく語るもの。

ロシア人は「これはルールです」と言われると反発したくなるようなところがある。ロシア人には、このような「容易に統治できない我々」意識とこれと表裏一体の関係にある「そうであるが故に強い調停者を戴かねばならない」という意識があり、これがプーチン人気につながっているのではないか。

国力の弱いロシアが「大国」として振る舞えるのは、常任理事国としての地位、国土大国などもあるが、国益が損なわれると見れば軍事力行使を躊躇わないという、自国を「大国」であると強く信じ、周囲にそれを認めさせようとする意志の力による。

プーチンは、日本をアメリカによって主権を制限された国とみており、このため領土交渉に本気で取り組むつもりがあったとは思われない。プーチンが本当の主権国家と認めているのは中国とインド。