HONMEMO

読書備忘録です。

ウェブ進化論/梅田望夫

今更ながらという感があるが、上梓は今年2月なんだな。ずいぶん昔の本のような気がしてしまうのはWEB業界のスピード感ゆえかもしれない。
WEB2.0というもの、Google、Amazonの位置付け、それによって生まれたロングテール現象などなど、とても良く分ったし、刺激的な本だった。
グーグルはアドセンスなどを通じて新しい「富の再配分」機能をもちうる革命的なものだが、一方、日本の大手製造業幹部はグーグルについて、「そのビジネスモデルは結局のところ広告でしょ」というところで思考停止してしまうという。実際、グーグルが何で稼いでいるかと考える時に、少なくとも物を作ってはいないのであって、いまやそのような企業にベスト・アンド・ブライテストが集まるというのが何だか悲しく思えるのは、おじさんの郷愁というべきものか・・・といって、私は著者と同世代なのだけれど。
ビジネスとは別の機能でいうと、「不特定多数無限大の参加は衆愚を招く」のではないかということに関して、1億人なら衆愚かもしれないけれど、1000万人の総表現社会参加者層で「ふーん、そーだよねー」的連帯が生まれることが新しい可能性をうむとし、「小泉圧勝」を誰が予想できたかということと関連付けて論じているあたり、私には、そこにこそWEB2.0の恐ろしさがあるのではないかと考えてしまう。果たしてそこまでオプティミスティックで大丈夫かと…(日本人のおじさんはみんなそう言うんだよと言われそう)。
なお、本書は、著者の若い世代に対するオプティミズム、信頼感が感じられて爽やかだ。(12/9一部修正)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

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