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読書備忘録です。

日本語が亡びるとき/水村美苗

インターネット時代、英語が「普遍語」となる中で、日本語は亡びるのか。「国語」の祝祭の時代が終わり、日本語は、国語から「現地語」と化すのか。「読まれるべき言葉」は英語で書かれ、「叡知を求める人」は英語を読み*1、英語で書くという方向に向かっていき、日本語は亡びるのではないか。そんな中で、日本語の国語教育、英語教育はどうあるべきなのか。著者は、国民の全部ではなく、一部がバイリンガルとなることを目指すこと、すなわち学校教育は英語教育に力を入れる必要はない。むしろ、「日本近代文学を読み継がせるのに主眼を置くべきである。」と強調する*2
この本が「読まれるべき言葉」であったとしても、もう大方の日本人は、これを読み継ぐことができなかったりして*3。あるいは、戦後民主主義的なメンタリティからは、エリート主義的とか、エラソーにといった反感もありそう。
三四郎を読み返したばかりだったが、その分析がとてもシャープで、感心した。
PS 梅田望夫さんが絶賛してるんですね。

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で


1890円@Amazon

*1:日本語による文章に「読まれるべき言葉」はなくなっていくのではないか。

*2:このように私のような下手が要約してしまうと陳腐

*3:結構売れているらしいのは幸いだ。